子ども造形パラダイスの概要

 

1 子ども造形パラダイスの起源

 子ども造形パラダイスは、子どもの造形の本質を基盤として誕生した。
 遊びの中の造形のダイナミックな活動は、大自然の中で行われる。
 子どもの造形は、せまい教室の中の手先だけのしごとでは満たされない。この考えは、本市の小中学校図工美術研究部が、学童作品展や各種コンクールのマンネリズムにつきあたって、つねづね考えてきたことであった。
 たまたま、戦災復興記念行事の豊橋まつりも、戦後10年がたってみると、他都市からの借りものが多く、目新しいものがなく、何かもっと豊橋っ子の手になる鮮烈な息吹きを求めていた。
 「その協賛会から予算は出す。」「子どもの造形作品を学校から街へ進出させてくれないか。」「子どもの本当の創造力をまだ街の人たちは知っていない。」「それは、戦災復興行事としても意義のあることだから。」
 この情報は、緊急に研究部会に流された。
 
○公園を使った野外展である。
○予算は10万円。豊橋まつりの2日間で開催する。
○全市の小中学校に呼びかけて作品をもちよる。
○あくまでコンクールとはしない。公園全体をひとつの作品として考えてつくる。
○企画構成は、すべて小中学校の図工美術研究部が行う。
○見るだけでなく、そこで遊ぶことのできる会場とする。
 

という確認のもとにプランをねった。 

少ない予算である。身近にあって安価で、たやすく手に入る自然の材料や廃材が活かされた。 

 

 <なんでもなる木>には、子どもの造形作品が鈴なりになる。ビニールの虹、子どもの車、給食の放出物資の粉乳の空かんでできた動物、タイヤと電柱の遊具、わらのトーテムポールやキリン、子どもの国の旗、竹、流木の魚や牛、ベニヤの巨大なムーランルージュなど。これらを会場に搬入してみると、会場の意外な広さに驚かされた。

 運んでも、運んでも、会場にポッカリあながあいているみたいだ。公園の近辺の学校は、日暮れまで学校の中の作品という作品を運搬した。つき当たっては考え、考えては実行した。

子どもたちのパラダイスをつくりだそうとする気持ちが満ちていた。この造形活動の芽は、新鮮で、たくましく、伸びる力をもち、街の人々のあたたかい支援によって育った。

出典<太陽と子どもの造形>より

2 子ども造形パラダイスの主催運営

 愛知県豊橋市教育委員会と豊橋市図工美術研究部が主催しています。豊橋市図工美術研究部は豊橋市内の公立小中学校各校の図工美術科の主任および図工美術を専門教科とする百余名の教師を中心に構成されています。4月の企画立案から始まり、ゾーン会や各種連絡・打ち合わせ会を重ね、10月に豊橋祭りの一環として子ども造形パラダイスが開催されています。

3 子ども造形パラダイスの近況

 市内小中学校の児童生徒の作品(約4万点)が展示され、子どもたちはもちろん、保護者や祖父母まで多くの観客で賑わっています。おじいさんおばあさん・お父さんお母さん・そして子どもと三世代に渡って造パラを経験した家族も出始めました。豊橋市では2学期なると、運動会の準備と共に造形パラダイスの材料を持って登校する児童生徒の姿が多く見られるようになります。木切れや廃物を袋に詰めて登校している子どもたちを見て、造形パラダイスが近づいたことを感じる市民のみなさんも多いと思います。現在では豊橋祭りの中心的イベントの一つとして定着しています。

 

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